【看護師・愛知県・30代・男性】療養型病院の回復の見込みのない患者たち

看護師の仕事

仕事は地元の求人から選択

通勤に長い距離や時間を費やすのをもったいないと考えていたので、採用先として地元の求人から選びました。

都市部から離れた郊外の住宅地に暮らしているので、周囲にはいくつかの病院や介護施設などが点在していて、採用には困りそうにはありませんでした。

当時は全く将来のことを描いておらず、ただ看護師として社会に出なければならないと背中を押されている感じで、どこでもいいので採用されれば一人前だという思い込みがありました。

ただ実習で自分がどの程度のスキルがあるかということはそれなりにわかっていて、それほど器用ではないので丁寧に作業をしなければならないという自覚もありました。

そこでじっくりと作業に当たれるであろう療養型の医療施設に勤務することを選びました。

療養型の医療施設での仕事

療養型とい病状の回復がこれ以上は見込めない安定期に入っている患者さんばかりです。

だからといって介護施設では医療行為を伴うので受け入れが困難という実情もあります。

つまり多くの患者さんが元気になって退院の見込みがないという重い空気が漂っているなかでの仕事になりました。

する仕事そのものはさほどスキルを伴うものではなく、新人でも十分に対応できることがほとんどでした。ただずっと配置転換のないままにずっと今後同じ病院で勤務し続けるのはたとえ仕事とはいえ人生の大切なものが失われていくよいな残念さを感じるようになりました。

そして回復の期待のできない患者さんが多いという現実は、逆にいうとここで命を終えるかたも多いということです。ずっと担当をしてきた患者さんが亡くなるという現実を医療に関わるものとして受け入れないとならないことがありました。

人間がよくできていて医療のために、そして人のために尽くそうというように気持ちが出来上がっていれば、乗り越えられる出来事なのかもしれません。しかし一歩病院の外では普段と何も変わらない日常が広がっていることがかえって、医療行為をするということにつらさを感じるようになりました。

本当は命があるかぎり医療の手が届かなければならないと思います。
しかし一人の人間として、そして何よりも新人の看護師であったので、やはり病気や怪我は治って欲しいですし、そのことに感謝もしてもらいたかったんだなと実感しています。

今は小さなクリニックで幅広い患者さんの対応をするようになっていますが、今の方が地域に密着していて仕事に対するやりがいができていると感じています。