看護師の理想と現実!心身共に疲れて総合病院から転職した体験談とは

看護師の転職体験

看護師の理想と現実のギャップ

私は看護学校を卒業して、埼玉県内のとある総合病院に勤めていました。

学生時代は「人の命を救う職業」「かっこいい」というあこがれの要素も強く、現場で働く日が待ち遠しかったのですが、実際に看護師になって現場で勤務をして思ったことは、学生の時に抱いていた看護師に対するイメージとははるかに違ったものでした。私は勤務してすぐに「理想と現実のギャップ」を感じることになりました。

強い憧れはあったもののその病院でのやりがいや人生の楽しみみたいなものも特に見つけられておらず、「看護師になれたたのだから、看護師の仕事をしっかりと務められるようになろう」と、とにかく毎日それだけを意識していました。

高圧的な口調で怒られる日々

私が通っていた看護学校では、恐らく他の看護学校に比べると実習が少ない方で、正直私は看護師になるまで採血や注射一本打ったことがありませんでした。

しかし、現場では問答無用でした。仕事中では先輩の看護師からは注射をしてくるようにどんどん指示されます。「やったことがない」と答えると丁寧に教えてくれましたが、人の身体に針を刺すわけですから、慣れるまで手が震えました。患者さんにも何度も「痛い」「他の看護師にお願いしたい」と言われ続けました。

もちろん、1回でできるようになるわけがありません。それなのにもかかわらず、2回目からは「この前教えたよね?何でできないの?」などの高圧的な口調で怒られます。

看護師の仕事は「生と死に向き合う」こと

研修期間も1週間ほどしかなく、その1週間もとても過酷なスケジュールでした。

1週間はかなり時間が短く、覚えられたこともたかが知れてるぐらいでした。それなのに先輩からは「覚えが悪い」「できの悪い新人」など毎日罵られました。それがどんどん私の中でストレスとして大きくなっていきました。

しかし、人の命と向き合う仕事である以上、「こんなんじゃダメだ」「自分が頑張らなきゃいけない」という気持ちが、どんどん強まっていきました。

また、総合病院の看護師の仕事はまさに、「生と死に向き合う」ことでもありました。

例えばその日元気に挨拶を交わした患者さんが、次の日には亡くなっていたことも幾度とありました。
悲しむ間もなく、次から次へと患者さんの処置と、そしてまだ覚えきれていない業務への予習、復習に追われる日々でした。「悲しくて涙を流す余裕や時間」さえもなく、怒濤の日々が過ぎていくだけでした。

自分自身が看護師として本当にしたいことは何か?

その「人の命を扱う現場での見えないプレッシャーが毎日かかる」ということと、「人の死が日常的に起こっていく」という2つの側面が、次第に私の心を疲れさせていきました。

病院の「残業手当が出る時間帯」というのは1日2時間まででしたが、毎日それ以上の残業、酷い時は病院に泊まらざるを得ないこともあるほどの重労働でした。そんな生活を続けていくことで「身体と心がおかしくなった」と自分でも感じるようになり、転職することにしました。

先輩から怒られ続け、人の死が当たり前になっていく毎日に心が麻痺していき身体もついていかなくなってしまいました。

私はその総合病院を1年少々という短期間で退職をしました。そして、少しの間休憩したのですが「時間がある」「何もしないでよい」というその休息時間中に改めて人の命の重さと、その現場で働くということの意味と向き合うことができました。そして、「自分自身が看護師として本当にしたいことは何か」ということを考えました。

そんな時、ふと「ジョブデポ看護師」という看護師求人サイトを見ていた時、家の近くの小さな町医者で「看護師募集」の求人を見つけてなんとなく応募しました。その結果、院長先生との1回のみで2日後に採用の通知をいただきました。筆記試験なども特にありませんでした。

なんとなく応募して採用されたのでまだ働くか微妙なところでしたが、「私は求められているんだ。」という事に気づき、今はそこの小児科の看護師として以前のようなプレッシャーを感じることなく勤務しています。かつて経験したこと、そして「命」「看護師という仕事」と改めて向き合ったことを活かし日々の業務に当たっています。